12月19日付の、とある全国紙新聞社のオンラインカジノに対する記事を読みました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE192EB0Z11C21A2000000/
これを読んで不安になった方も多いかと思いますので、ぜひ正確なことを見ていただきたくてこれを書いています。
◆ 「日本はギャンブルが原則禁止されており、オンラインカジノ利用も違法」について
十把一絡げのくくりでオンラインカジノを論ずるのは誤りです。
これには重要なことが考慮されていないのです。
日本国内でオンラインカジノを開催し運営すれば違法なのは明らかです。(刑法第185条および第186条)
でも海外で運営されているオンラインカジノであれば、それを日本国内からインターネットで接続して利用することは、法律で禁止されていません。
そのような条文は存在しないのが事実です。
オンラインカジノの利用が即違法というのは、明らかに間違いではないでしょうか。もちろん合法だと言うつもりはありません。法律がないことなので、正確にはグレーゾーンといえます。
記事で、『国内からオンラインカジノへのアクセス数は米国、ドイツに次ぐ世界3位で、日本は今や「違法カジノ大国」になった。』というくだりには、記事を書いたライター独自の見解であることが見て取れます。
また、記事で『専門家は「早急に法律で規制する必要がある」と警告した。』ということに関しては、すでに令和2年(2020年)の国会でオンラインカジノのことが取り上げられているのです。
当時の政府答弁を要約すると「インターネット利用を想定した現在の実態に合わせた新たな法律」及び「オンラインカジノの合法化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにしても、現時点で、政府として、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条の賭博罪等の規定を改正することは検討していない。」というものです。
次の衆議院答弁本文情報をご覧ください。
https://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b201061.htm
つまり、今の時点では、国も司法当局は違法とも合法とも判断していないし、刑法改正も考えていないということです。
ただ、現時点で法律に定めがないというだけで、今後の動向には注意が必要ということは当サイトでも度々書いていますのでご留意ください。
また、海外のオンラインカジノで当事国のライセンスを取得していないものは、違法なマネーロンダリングや利用者のクレジットカード情報などの流出を目的としていることが考えられるので、ライセンス表記のないオンラインカジノでは絶対に遊ばないように注意しましょう。
◆ 「海外事業者の取り締まりは非常に困難で、事実上野放し状態だ」について
海外で正式なライセンスを取得しているオンラインカジノは、当事国では合法的な運営を行っています。ましてや刑法の賭博に関する条文は国内のみに限られるもので、海外の企業には規制が及びません。
オンラインカジノに関しては海外の事業者を取り締まることは、「非常に困難」ではなく、そもそも不可能なのです。
「事実上野放し」というのも、合法的な運営をしている企業に対しては恣意的なものが感じられます。
日本が国としてオンラインカジノの利用を禁じたいのであれば、刑法を改正すれば済むことなので簡単なことです。
これに対しての国の考え方は前述したとおりです。
記事を書いたライターは、ギャンブルに対して特別な感情を持っていると思われますが、海外で合法的に運営しているオンラインカジノ事業者に怒りを向けるのは、筋違いというものではないでしょうか。
◆ もっとも参考になる事例はスマートライブカジノ事件です
日本の刑法規定をもとに、海外のオンラインカジノ利用者を検挙したのは唯一、2016年のスマートライブカジノ事件だけです。
このとき逮捕された3人のうち2人は略式起訴を受け入れて罰金を支払いましたが、残る一人は納得がいかず正式裁判に持ち込もうとしたところ、検察が不起訴としました。
この事件では、警察側も海外のオンラインカジノを利用したことで利用者を逮捕できないことは百も承知していたと考えられます。
そこで考え出したのが、『日本人女性のディーラーがゲームを提供し、日本語でコミュニケーションが取れ、開催時間が日本時間の夕方から深夜の設定になっていたことで、オンラインカジノの実態が国内において行われていると「評価できる」と判断した』という論法のようです。(当時の解説記事より)
これは、海外運営のオンラインカジノでも胴元は日本国内にいると「見なした」ことにほかなりません。
カジノが日本国内で行われていない限り、利用者を逮捕できないことを知っているからこそ、このような論法を創り出したものと思われます。
これが検察側では不起訴にしたのです。この論法では正式裁判では通用しないと考えた結果だと判断します。
刑法では「類推解釈は禁止」というのが原則です。
国内では賭け事が禁止されていますが、それと同じようなことをしていても、法律に明確にそれを禁じる条文がなければ処罰することができないというのは原則なのです。
ギャンブルというくくりの中で、オンラインカジノを悪と決めつける人が存在するのも事実だし、そう考えるのは自由なことです。新聞が記事を書くのも自由です。
でも、それを読む側は、ニュース情報は正確に読み取って正確な情報で判断するようにしたいものですね。
ギャンブル依存症という弊害もありますので、あくまでも遊びの範囲で利用することも重要です。
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ご紹介したニュース記事の中で、「今年9月のアクセス数は3年前の100倍以上に増えた」「オンラインカジノへのアクセス数は米国、ドイツに次ぐ世界3位」「オンラインカジノへの日本からのアクセス数は、2018年12月に月間約70万回だったが、2020年1月には約7820万回まで増えた」という数字は興味深いものですね。
それだけ日本には需要があるということですね。